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物流コラム

【実は御社でもかかっているハズ】目に見えない物流コストとは?

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昨今のエネルギー費用の高騰に加え、人口減少や求人倍率上昇による人材獲得競争の激化など、厳しい経営環境に拍車をかける状況が続いています。

食品・生活用品といった身近なところでも値上げラッシュとなり、我々物流倉庫業界も多分に漏れません。

2024年問題、2030年問題と、物流業界を取り巻く環境や社会情勢の変化によって「物流コスト」の考え方は大きく変わっていくことになりそうです。

 

今回は、その「物流コスト」について改めて解説させていただきます。

【目に見える物流コスト】だけではなく、【目に見えない物流コスト】についても触れていますので、

「物流コストの見直しをされている方」や「自社物流を行われている会社の方」などにとって、少しでもご参考になれば幸いです。

 

目次

【1】物流コストとは

【2】目に見える物流コスト

    1)輸送コスト

    2)荷役コスト

    3)保管コスト

【3】目に見えにくい物流コスト

    1)自社物流編

    2)アウトソーシング編

【4】物流コストを下げる方法

    1)単価

    2)業務フロー

【5】まとめ 

 

 

【1】物流コストとは

 

 経済活動において物を動かすためにかかる費用が物流コストです。

商品が工場や倉庫から消費者に届くまでに生じるコスト。

商品を作るための原材料を工場まで納入する輸送コスト。

倉庫で出の保管・荷役などの輸送コストなど、実に様々な物流コストがあります。

この物流コスト、実は目に見えやすいコストと見えにくいコストに分かれています。

次に、それぞれの特徴を説明します。

 

【2】目に見える物流コスト

 

(社)日本ロジスティクスシステム協会が行った2020年度調査の結果によると、

全業種平均では「輸送コスト(55%)」「荷役コスト(18%)」「保管コスト(16%)」となり、

業種業態によって違いがあるかもしれませんが、上記3つが主要な物流コストということになります。

 

 もう少し細かく見ていきます。

 

1)輸送コスト

 

チャーター車両費用や、宅配便の発送料、自社トラックのガソリン代や減価償却費などが輸送コストになります。

物流コストとしてはとてもイメージしやすく、目に見えやすい物流コストです。

 

輸送コストについては、これまでのコラムにもあったように「2024年問題」という大きな障壁が待ち構えています。

来年4月の働き方改革関連法施行により、運送業界に大きな変化が余儀なくされます。

具体的には「運送会社の利益減少」「ドライバーの収入減少」「荷主が支払う賃料の高騰」などが想定され、輸送コストの上昇が必然です。

 

2)荷役コスト

 

倉庫(委託倉庫会社)での商品の入出庫作業や、仕分け作業に対して発生する料金のことです。

荷役料には「入庫料」や「出庫料」が含まれ、課金方法には次の2種類があります。

① 作業量(数)に対して課金 (例:商品1個あたり@XX×作業個数)

② 作業時間に対して課金 (例:作業時間1時間あたり@XXXX×作業時間)

 

どちらにしても、作業数量と作業時間に対して課金されるため、比較的目に見えやすい物流コストになります。

 

 荷役コストについても「2030年問題」という大きな社会現象の影響を受け、様々な問題が発生すると予想されています。物流に関わる人手不足について考えると、ポイントは以下の3つです。

① 人口総数が11,600万人程度に減少する。(2010年当時は12,800万人)

② 平均年齢が50.4 歳に上昇する。(2010年当時は45.0歳)

65 歳以上の高齢者が31.6%を占める。 (2010年当時は23.0)

④ 生産年齢人口は58.1%に減少する。(2010年当時は63.8%)

 

 日本ロジスティクスシステム協会による 『IoT、ビッグデータ、人工知能の進展による2030年の物流ビジョン 報告書』 でも、今後人手不足がますます顕著になると想定されています。

一方では、AIの進化、DX化、ロボティクス化などにより、人材余剰となるという予想もあります。

 

3)保管コスト

 

保管コストとは、商品を取引先(注文者)に納品するまでの間、倉庫など一定の場所で保管し、品質や数量の保持をする費用です。

主に商品を置く自社倉庫の賃貸費用や火災保険などが該当します。

外部倉庫を利用する場合は、倉庫立地、保管形態、保管環境、使用スペース、使用期間などにより、コストの差が大きく出る傾向にあります

自社倉庫では家賃(管理経費)という形で目に見えやすい物流コストとなります。

一方、外部倉庫では保管管理料という形で、物量に応じたコストとなるため、変動費制になるケースが多いです。

変動費制には、

①商品1つ1つに保管料率を課金する計算方法と、②使用する棚・パレット・坪、㎡の単位で課金される場合があります。

また、倉庫1棟借りのように、保管料が固定費となるケースもあります。

昨今のエネルギー費用の高騰の影響により、光熱費(電気料金)も大幅な値上がりとなっています。

自社倉庫の光熱費と同じく、外部の倉庫会社でも高騰した光熱費を保管料や管理費用に反映せざるを得ない状況になっています。

 

【3】目に見えにくい物流コスト

 

1)自社物流編

 自社で物流業務を対応すれば外部に支払う費用は【0円】です。

0円ですから明らかに目に見える物流コストはありません。お客様からも「予算が無いから自分たちでやります。」「少しでも利益を残したいから外注できません。」という声を実際にお聞きします。

長年にわたり自社物流をおこなっている企業様ほど、そのような声を聞くことが多いかもしれません。

 

 この【0円】の中に、目に見えにくい物流コストが隠れています。

 

自社で対応するにしても、外部に委託するにしても、物流業務には「場所」と「人」が必要になります。ということは、そこには必ず費用が発生しています。

自社物流の場合は「家賃」「水道光熱費」「人件費」が費用となります。この人件費が目に見えにくい物流コストになりがちです。

 

例えば、

月給が40万円の社員の時給を計算してみます。

40万円 ÷ 20/ ÷ 8時間/日 = 2,500

1時間2,500円の目に見えにくいコストが発生する計算です。

パートさんの場合は、現時点の最低賃金(東京)で1時間1,072円のコストが発生します。

 

ここでもう一つ気を付けなければならないことがあります。

それは生産性です。

何かしらの作業を外部に委託する場合は、1作業=XX円という単価見積りとなるケースが多いですが、自社物流の場合は、月給(パートさんは時給)という固定費となります。

社員なので気を抜かずに一生懸命作業をしていると思いますが、仮に、体調が優れないなどの要因でダラダラとした作業になってしまったら、生産性が落ちてしまうので作業単価がアップしてしまいます。

これもまた目に見えにくい物流コストに反映されます。

 確かに、実際に費用としてお金は外に出ていかないように見えますが、その作業にかかる時間が物流コストになっているということを理解いただければと思います。

 

2)外部倉庫編

 

外部の物流倉庫会社に業務を委託する前には、必ず御見積書をいただきます。

保管管理案件であれば、1ヶ月や年間の物流コストのシミュレーションも確認することもあります。

契約後に毎月、契約料金に基づいた請求書が送付されてきます。自社物流と比較すると明らかに目に見えやすい物流コストとなります。

ただし、外部倉庫委託している業務の中にも、目に見えにくい物流コストがあり、それは業務フローの中に存在しています。

例えば、外部倉庫への出荷指示方法。荷主側で得た受注情報を所定のフォーマットに書き起こししてFAXをしたり、

手入力をしてCSV形式でメール送信するケースがあります。

この受注業務の中にも作業時間という物流コストが発生しています。また、「今までがそうだったから」という慣習の中に不要な作業時間という物流コストが存在していることがあります。

長年おこなってきた業務フローを変えることは簡単なことではありませんが、意外にも身近なところに物流コストを削減するヒントが隠れているものです。

 

【4】物流コストを下げる方法

 

たいていの企業では「コスト(費用)」削減に取り組んでいます。当然のことです。

その中でも特に物流費というのは「出来る限り安く抑えたい」と考える企業がほとんどだと思います。

これまで述べたことを振り返りながら、物流コストを下げる方法について考えていきたいと思います。

 

1)単価を下げる

 

 自社物流の場合の「単価を下げる」とは「生産性を上げる」ことです。

目に見えにくい時間(人件費)という物流コストになりますので、時間当たりの生産性の管理を徹底することが考えられます。

業務フローを変える。作業手順を変える。外部の物流会社へアウトソーシングするという手法も一案です。

 外部倉庫に委託している場合は、契約料金単価を下げてもらうことになりますが、今のご時世では難しい交渉になると思います。

より安価な倉庫会社を求めて、複数社にアプローチをしていくこともありますが、サービスレベルの確認や、移管後の業務フローとシステムフローの確認を怠ると、無駄な移管費用を支払うリスクが生じますので、しっかりとした要件定義の確認が必要になります。

 

2)業務フローを変える

 

自社物流であっても、外部倉庫に委託しているとしても、業務フローや作業手順を変えることにより、物流コストを抑えることが可能になるケースがあります。

紙ベースの指示をデータ化することにより、人が介在する時間を省力化する。

複雑な業務をシンプルにすることにより、誰でも対応できるように業務を標準化するなど、意外と身近なところに創意工夫をすることがあるかもしれません。

「これは何のために必要ですか?」という問いに対して「今までそうだったから」という回答をいただくことがあります。

業務フローの棚卸をすることで、物流コストを削減できる機会が生まれます。

 

【5】まとめ

 

これまで「物流コストとは?」について解説してきました。「時間」という目に見えない物流コストを認識すること。

物流コストを下げる方法は「単価を下げる」ことだけではなく、「業務フロー」を見直すことが大切であること。

この2点をご理解いただければ幸いです。

 

 ワタナベ流通の物流アウトソーシングは、高い在庫管理精度と入出荷品質、そしてお客様に合わせた物流提案、物流のカスタマイズ性の高いサービスを提供します。

物流コスト(単価)の勝負ではなく、これまでの物流フローや作業手順の棚卸のお手伝いをさせていただきながら、

お客様と共に創意工夫しながら業務の効率化やコスト削減を最大化させる施策の提案が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

この記事の執筆者:

株式会社ワタナベ流通

営業部 橋本 昭英

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