物流業界が直面している課題とは?解決方法や物流総合効率化法について解説
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物流業界が直面している課題とは?解決方法や物流総合効率化法について解説
物流は、私たちの生活にとって欠かせない機能です。しかし近年、物流業界はさまざまな課題に直面しています。
この記事では、物流業界の課題について解説します。
物流業界の課題を解決する方法や、企業が取り組むべき対策についても解説するため、参考にしてください。
■ 物流業界の近況
近年の物流業界は市場規模の拡大により、需要が高く見込まれています。
特にネットショッピングの普及や、新型コロナウイルス感染症の影響などで、個人向けの配送が増加しているといえるでしょう。
しかし社会全体の変化によって、さまざまな課題も生じており、事業の継続が厳しい物流企業が増加しています。
物流業界にもDXやSDGsが求められている
物流業界でも、DXやSDGsが求められています。
DXとはDigital Transformationの略で、デジタル技術を活用し、ビジネスモデルや業務などを変革させることです。
SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標です。
2030年までに達成すべき国際社会共通の目標で、17のテーマがあります。
物流業界のDXでは、倉庫内のロボットや物流システムの導入により業務効率化が課題解決につながっています。
SDGsは、輸送におけるCO2排出量の削減などを目指しています。
■ 物流業界が直面している課題とは
物流業界はさまざまな課題に直面しています。以下で、5つの課題について解説します。
1.ドライバー不足
ドライバー不足は、物流業界の課題のなかでも、特に大きな課題といわれています。
トラックドライバーを求人しても、労働環境の過酷さから、なかなか人員が集まりません。
国土交通省の調査では、2013年は46%、2018年は約70%の企業が「ドライバーが不足している」と答えています。
少子高齢化の影響もあり、今後はさらなる人員不足が予想されます。
2.労働環境が過酷
物流業界は、労働環境が過酷といわれています。トラックドライバーの業務は、荷物の輸送や積み下ろしなど重労働です。
また、深夜・長時間労働が慢性化し、負荷が大きくなっていることも過酷な理由といえるでしょう。
深夜・長時間労働と過酷な労働でありながら、賃金が低いことも課題です。
3.燃料の高騰化
燃料の高騰化も課題の1つです。
原油価格は新型コロナウイルス感染症の拡大により下落しましたが、世界情勢により変動するため、高騰するリスクがあります。
原油価格が高騰した場合、配送料金を上げないと利益が減少し、労働環境の悪化につながります。
しかし、配送料金の値上げは、荷主からの反発があり実行しにくい現状です。
4.個人向け配送の増加
ネットショッピングの普及により、個人向け配送が増加したことも課題です。
店舗や企業などへ1度に多くの荷物を配送する大口配送と比べて、個人向けの小口配送は積載量が少ないものの、多くの人手が必要です。
また、配送時に受け取り側が不在だと持ち戻りが発生して、配送会社の負担が大きくなるケースもあります。
個人向け配送がさらに増加すると、労働環境の過酷化や人手不足などが、ますます悪化するといえるでしょう。
5.配送品質の競争が激化
配送品質の競争が激化していることも、課題といえます。近年ネットショップのなかには、配送スピードの向上を売りにする販売者も増加しています。
しかし配送スピードを向上させるためには、荷物の積み方や配送ルートの選定などに工夫が必要となり、ドライバーにとっては大きな負担になります。
■ 物流業界の課題を解決する方法
物流業界の課題を解決するにはどのような方法があるのでしょうか。以下で、5つの解決方法について解説します。
1.ITツールやシステムの導入
ITツールやシステムを導入すると、今まで人の手で管理していたものを、デジタル化できます。
デジタル化できると、輸送や保管、梱包などが一元管理されて、業務の効率化が見込めます。
ITツールを使った物流業務の効率化は、スマートロジスティクスと呼ばれており、配車ルートの最適化や荷物のリアルタイム追跡なども可能です。
2.業務のオートメーション化
業務ごとに特化したロボットやツールを導入し、業務を自動化することも、作業効率の向上につながります。
業務に合わせたロボットやツールの導入は、少ないリソースでも業務を確実に処理できます。
人手不足の課題に直面している物流企業には、対応しやすい方法といえるでしょう。
3.物流アウトソーシングの利用
物流アウトソーシングの利用も、課題の解決方法の1つです。
物流アウトソーシングとは、物流業務やシステム管理を外部へ委託できるサービスです。
物流アウトソーシングを利用すると、物流業務に携わっていた人員を他の業務に配置転換できます。
また、最新の物流システムを自社で導入しなくても済むため、コストの削減にもなります。
4.物流拠点の再考
配送コストの削減には、物流拠点の見直しが大切です。
物流拠点を増やせば、長距離・長時間の配送がなくなるため、燃料費の削減につながります。
逆に物流拠点を集約すると、配送業務の効率化につながるといえるでしょう。
ただし、物優拠点を増やしても集約しても別のコストはかかるため、自社に合った方法を検討しましょう。
5.宅配ボックスの設置
再配達によるドライバーの負担を軽減するには、宅配ボックスの設置がおすすめです。
近年、宅配ボックスを設置する集合住宅が増加しており、戸建て用も注目されています。
宅配ボックスは受け取り側が不在でも配達が可能なため、再配達の防止につながります。
設置コストは受け取り側に発生しますが、国土交通省も宅配ボックスの活用に向けた施策を進めています。
■ 物流総合効率化法とは
物流総合効率化法とは、物流業界の課題を解決するための法律で、2005年10月に施行されました。
物流企業が手を取り合い、流通の効率化や省力化に取り組むと、政府から費用の補助やさまざまな制度の優遇などを受けられます。
2016年10月1日には労働力不足や小口配送の増加など、新たな課題を解決するために、物流総合効率化法の一部が改正されています。
2022年度は、DXによる働き方改革を進めるために、物流DX関連機器を有することも認定取得のポイントとなりました。
以下で解説する3つの取り組みは、補助や支援の対象です。
1.モーダルシフト
モーダルシフトとは、トラックのみによる配送に、鉄道や船舶などを併用する取り組みです。
モーダルシフトは、CO2排出量の削減から環境に配慮する目的で誕生しましたが、1度に大量輸送が可能であり、人手不足の解消にもつながります。
モーダルシフトに取り組めば、政府からの補助を受けられる可能性が高まります。
2.共同配送
共同配送とは、複数の物流企業が協力・連携して、倉庫の共有化や配送先が同じ荷物の混載などを行い、物流を効率化する取り組みです。
配送先が同じ荷物を1度に運ぶことで、トラックの積載率低下が防げます。
また、CO2排出量の削減の他に、ドライバーの長時間労働の解決策にもつながるでしょう。
3.輸送網の集約
輸送網の集約とは、物流会社ごとに異なっていた輸送ルートをまとめることです。
輸送ルートの中央に輸送連携型倉庫を置き、荷物を1度集めてから納品先へ運びます。
輸送網の集約により、配送に必要なトラックの台数が減少できるため、効率化の実現につながるでしょう。
モーダルシフトや共同配送同様に、政府に認定されると補助や支援がされます。
■ 物流業界の将来性
物流業界にはドライバー不足や労働環境の過酷など、さまざまな課題がありますが、物流需要が高いため将来性は十分望めます。
物流業界はサプライチェーンの大部分を担うため役割は大きく、今後も期待が寄せられるでしょう。
サプライチェーンとは、調達から製造、消費者に届くまで流れのことです。
物流業界が直面している課題は、物流総合効率化法の施行やITツールやシステムの導入、物流拠点の再考などの取り組みにより、改善されるでしょう。
■ まとめ
物流業界が直面している課題は多く、解決に苦戦している企業も少なくありません。
課題を解決するには、物流システムの導入や物流アウトソーシングの利用などで、物流業務を効率化しましょう。
業務が効率化されると、物流人員の負担軽減につながり、さらなるサービスの向上が期待できます。
ワタナベ流通では、多品種小ロット管理や品質重視など、お客様に合わせた物流提案を行っています。
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執筆者:
株式会社ワタナベ流通
営業部
市川 文平