物流の2025年問題とは? 物流業界における課題とその解決策
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物流業界において「2025年問題」と呼ばれる一連の課題は、日本のインフラに大きな影響を与えると予測されています。
2024年にも、働き方改革法案によりドライバーの時間外労働が制限されることで、物流・運送業界に生じるさまざまな問題が話題となりました。
2024年問題と2025年問題は、一体何が違うのでしょうか。
今回のコラムでは、2025年問題の背景や具体的な課題、そしてそれを乗り越えるための解決策について詳しく解説します。
目次
1. 物流業界に起こる2025年問題とは
物流業界における2025年問題は、主に労働人口の減少による課題を指します。
少子高齢化により、2025年には国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になることから働き手不足が加速すると考えられるのです。
また、既存システムの老朽化やIT人材不足について経済産業省は「2025年の崖」として問題視しており、物流業界においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。
高度なデジタル技術を扱える人材の育成や確保が進まない限り、システム導入や業務の効率化が遅れる恐れがあるでしょう。
さらに、引き続き2024年問題の課題解決と、来たる2030年問題に備えることが重要です。
① 2024年問題とは
2024年問題とは、2024年4月の労働基準法改正により、ドライバー・建設業・医師の時間外労働の上限規制が適用されることで生じた問題のことです。
この規制により、物流業界ではトラックドライバーの労働時間が制限されることとなり、配送スケジュールの見直しや効率化が求められています。
② 2030年問題とは
2030年問題とは、日本の急速な高齢化と人口減少が引き起こす社会問題を指します。
近年はネット販売の普及拡大により物流への負荷が高まっています。
野村総合研究所(NRI)が2024年6月に公表したレポート(※)によると、2030年時点でトラックドライバーは36%不足し、輸送コストは34%上昇すると予測されました。
ドライバー不足のピークを迎える2030年までに、労働力不足への対策や生産効率を向上させる物流改革が重要なポイントとなるでしょう。
※引用:株式会社野村総合研究所「2024年以降も深刻化する物流危機」
2. 物流における2025年問題の解決策
2025年問題を解決するためには、以下のような取り組みが必要です。
① システム導入による効率化
② 労働環境の改善
③ 人材の確保と育成
① システム導入による効率化
新しいシステムの導入は企業全体の生産性向上につながります。
また、既存システムが複雑化していたり非効率だったりした場合は、システム更新を検討することも大切です。
【物流システム導入の例】
● 配送管理システム
● 在庫管理システム
● ピッキングシステム
● 運行管理システム
アナログで管理していたものをデジタルに置き換えることができれば、業務の負担を大きく軽減させられるでしょう。
さらに今後は、ドライバーの負担が軽減する自動運転技術の導入や、ドローン配送の可能性にも注目が集まっています。
運用コストや従業員への教育研修などを考慮し、計画性のあるシステム導入がDX推進には重要です。
② 労働環境の改善
働き方改革関連法により、物流業界では労働環境の改善が進んでいます。
2019年には、国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課の主導で「ホワイト物流」推進運動も実施されました。
「ホワイト物流」推進運動の推奨項目から、労働改善のポイントを確認できます。
【労働環境改善の例】
● リードタイムの調整
● 有給休暇取得の義務化
● 産業医・産業保健機能の強化
● 同一労働同一賃金の実現
● 運転以外の作業部分の分離
● 荷役作業時の安全対策
● 異常気象時等の運行の中止・中断等
● 宅配便の再配達削減協力
ドライバーの人手不足の原因として、労働時間の長さや低い給与水準などが挙げられるため、労働環境や労働条件の改善は非常に重要な項目です。
従業員が働きやすい環境をつくることで、人材の定着や確保にもつながります。
③ 人材の確保と育成
労働人口が減り続けるなかで、物流業界は従来の男性中心の職場から、女性やシニア層にも活躍の場を広げることで、多様な労働力を確保することができるでしょう。
物流企業が若者の労働力を確保するためには、インターンシップ制度を活用するのも効果的です。
さらに、IT人材の育成やシステム保守の人材を確保することで、業務のデジタル化が加速します。
新しい人材確保のためには、先述したシステム導入による業務改善や、従業員が働きやすい労働環境を整えることが重要です。
3. まとめ
2025年問題は物流業界にとって避けて通れない問題です。
今後、業務効率を上げるシステム導入と、人材の確保がカギとなるでしょう。
ワタナベ流通では、パートスタッフのことを仲間という意味を込めてPAL(パル)さんと呼んでいます。
3つの雇用形態で柔軟な働き方を実現し、部門間で業務量を共有することで、安心して働ける環境づくりを目指しています。
また、新たな基幹倉庫システムの設計開発にも着手しており、早期に稼働できるよう進めています。
物流業界の未来を切り開くためには、物流の重要性を再認識し、より良い未来を目指して積極的な変革を起こさなければなりません。
東京都や埼玉県に倉庫を持つワタナベ流通では、多品種小ロット管理や品質重視、お客様に合わせた物流提案を行っています。また、物流のカスタマイズ性も高いため、物流倉庫をお探しであればまずは倉庫を見学してはいかがでしょうか。
株式会社 ワタナベ流通
営業部 根橋 徹
物流倉庫での所長としての効果的な現場運営を活かし
営業領域での経験を積み一層の成果を上げることに注力しております。